恩田陸ーライオンハートジャン・フランソワ・ミレー(J.F.Millet)の春。 県民ならば親しみ深いその名前と、その絵画の美しさに、魅せられる。 5枚の美しい絵画。美しいだけではなく、そこには物語がある。恩田陸というひとりの作家が、そこに、画家とはもしかしたら異なるかも知れない、もしかしたら同じかも知れない物語を描き出していた。 …愛しているわ、私のライオンハート。 真っ黒な表紙に、ライオンハートという白抜きの文字が鮮やかに目に飛び込んできた。 出会いは大学時代、ふと立ち止まった書店。 気付けば手に取り、ぱらぱらと中を確かめるように文字を追っていた。 『――いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。いつもいつも。 会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ』 『―――覚えていてね―――私の、ライオンハート』 エアハート嬢の到着、より。 時代を超えて、物語は出会いと別れを繰り返す。 いつもいつでも繰り返される、短い逢瀬。 人生の中の、ほんのひとときの逢瀬が、どれほど二人にとって重いのか…… 何故二人はその運命を繰り返すのか。 二人はその先、どこへ行くのか。 愛しているわ、ライオンハート。 魂は全てを凌駕する。 時は 内側にある。 背筋がぞくぞくするようなこの物語を、図書館で借りては読んだものでした。 最近文庫になったので、迷わず購入。 手元に置いておきたい、大切な本となりました。 これが、私と、恩田陸という作家との出会い。 その後の読書も、影響されたことは間違いないのですが。 それはまた、別の話なのでここでは割愛します。 上質なラブストーリーをあなたに。 この世界に瞬間どっぷり浸かってしまえるのなら、 迷わずお薦めできる一冊です。 ジャンル別一覧
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